—— 高橋さんが接骨院の仕事をする始めたきっかけは何ですか
出身は神戸なんだけど、日体大に進学するために上京してきて、レスリングの選手としてオリンピックを目指していたんだよ。でも、２年生の時に腰に大怪我をして、病院のベッドで１年間も寝たきりの状態になってしまって。夢も絶たれてしまったし、仲間たちはどんどん結果を出していくし、悔しくて悔しくて、病院のベッドでひとり泣いてたなぁ・・・。
結局、手術も３回して、その時に「車いす生活になることを覚悟して下さい」と医者から宣告されて、人生のどん底。先が見えず真っ暗闇だった。でも、病院内の体育館で車いすバスケットボールをしている人たちに出会ってさ。当時は、車いすバスケはメジャーじゃなかったし、私自身もその時に初めて見て、衝撃的だった。おかげで、「俺も頑張らなくっちゃ！」と光が見えたとように思えたよ。
最後の手術で、奇跡的に車いすがなくても生活ができる体に回復できたけれど、ベッドで過ごした一年で、車いすでもスポーツに関われる仕事は何かないのかと考えていていたんだよね。その時にスポーツなど痛めたからだを治すマッサージやトレーナーの仕事ができないかと思ったことがきっかけで、接骨院を開業するための「柔道整復師」の資格が取れる専門学校に入学したんだよ。
—— なぜ、桜新町に開業したのですか？
最初に空き物件を見つけたのが、たまたま桜新町。だから、縁だね（笑）。
1989年（平成元年）に開業した頃は、桜新町にはチェーン店もなくて、でも、商店街のイベントは毎月のように行われていて、個店の店主のパワーを感じたな。これは、俺もがんばらないとな、と。
よそ者（神戸から上京）だったけれど、だからこそ、イベントには積極的に参加するようにしていて、そしたら、「おつかれさま！休憩中かい？」などと、商店街の人たちから声をかけてもらって、めっちゃ嬉しかったなぁ。このまちでずっとやっていこう！と心が決まったよ。
—— 記憶に残っているイベントはありますか
色々あるけれど、「金魚すくい大会」とかも盛り上がったし、「年越しカウントダウンイベント」も大変だったけれど楽しかったなぁ。年を越した瞬間にみんなで爆竹を投げて、噴出花火をしたんだけど、流石に今では出来ないよね。
—— 桜新町商店街の理事長を5年間務められていますが、まちとの向き合い方は変わりましたか？
当初、理事長は「商店街の顔、旗振り役」なのかと思っていたけれど、最近は少し考えが変わってきていて、理事の人たちを後押しするのが仕事だと思っています。そして、理事の人たちには、各個店の店主の想いをバックアップしてほしいと考えています。
また、チェーン店と昔ながらの店舗と一緒に何か出来ないかと思って、「企業店舗統括部長」という役割を新たに作りました。チェーン店を巻き込んで、商店街イベントを活性化出来たら楽しいなと思っています。
—— 10年後（2031年）の桜新町はどのようになっていてほしいですか
10年後はどうなっているんだろうね。ピンとこないけれど、個店もチェーン店もモノや商品ではなく「店主の魅力をどれだけ出せるか」が大切だと思っています。だから、それが発揮できる「まち」になっていると良いよね。あくまでも「人が中心」であるまち。
それに、今、桜新町にはベビーカーが多いでしょ。10年後、その子たちが小学生くらいになった時に、まちぐるみで、たくさんの楽しい体験や思い出を作れるようにしてあげたいね。これからの小学生たちが中心となるまちづくり。
—— 桜新町の魅力とはどこでしょうか
よく言う「若者」「よそ者」「バカ者」が桜新町にはいると思っている。青年部も50名くらいいるし、俺みたいなよそ者も受け入れてくれたんだよね。
それに、桜新町って新しいものが好きのところがあるでしょ。商店街のホームページを最初に始めたのって桜新町なんだよ。もっと昔に遡ると、集団就職も桜新町が全国に先駆けて行ったみたい。今回、日本体育大学さんと協力をして行った新型コロナウイルスワクチン接種も、商店街の組織として行ったのは初めてだと思う。その他にも、まだ計画中だけれど、全国の商店街ではやっていないようなイベントも考えていますので、楽しみにしていただければと思います。
独特なパワーがあると感じるのも桜新町の魅力かな。無茶しても受け入れてくれる器の大きさを感じるというか、「桜新町に住んでいるんだ！」という誇りのようなものをみんなが持っているんじゃないかな。そんな「人」をこれからも大切にしたいし、私もその一員としてこれからも桜新町に関わっていきたいです。
—— 次の方へのバトンとメッセージをお願いします
昔から地元に住んでいて、イベントの時などもいつも場所をかしてくれている、小泉金物店の陽輔君、お願いします。桜新町についての熱い想いを聞かせてよ！
【店舗情報】 タカハシ接骨院
【 住 所 】 東京都世田谷区桜新町2-10-16
【営業時間】 休診日 日曜・祝日
午前診療 8:30～12:30
午後診察 14:45～21:00 最終受付20:00頃
【電話番号】 03-3426-8419
【ウェブサイト】 https://www.hayoiku.com/
聞き手 吉池拓磨（桜新町商店街振興組合スタッフ）
インタビュー日：2021年7月10日
